JICA海外協力隊のコンピュータ技術隊員が経験した課題別派遣前訓練「水の防衛隊」とは?!
Chamgei!
こんにちは!てらぼー(@terabow42)です!
JICA海外協力隊員の選考を通過するとほとんどの人が経験するのが、駒ケ根・二本松で実施される派遣前訓練と、職種に応じた課題別派遣前訓練の2つです。
しかし、一部の人はこの2つの訓練のほかに、要請に特化した訓練を受けることがあります。その一つが、水分野に関連した要請に派遣される候補者が受講する「水の防衛隊」訓練です。
私の要請は、コンピュータ技術隊員としてケニアの上下水道会社のICT部門でGISマッピングをするというもの。水に関連する要請ということで、この「水の防衛隊」訓練にも参加することになりました。
JICA海外協力隊に応募するまで私は水に関する知識や業務経験が全くありませんでしたが、それでもこの研修を通して様々なことを学ぶことができました。今回はそんな水の防衛隊訓練について少しだけ紹介します。
「水の防衛隊」ってなに?!
「水の防衛隊」とは、“安全な水を多くの人が継続的に手に入れることができるように支援すること"を目的として、日本の技術をJICA海外協力隊の派遣によって提供するというものです。
2008年のアフリカ開発会議で提唱されたもので、水質管理・水源開発・野菜栽培・村落開発など、水に関連する要請に派遣される隊員が所属することになります。私の派遣先も上下水道会社ということで、研修を受けることになりました。
二本松での派遣前訓練を終えた次の週、研修が行われる前日に群馬県高崎市に向かい、一泊した後に研修所がある群馬県甘楽町に行きました。
高崎駅から上信電鉄線で研修所のある上州福島駅に到着すると研修所の方が迎えに来てくれていました。参加者は私を含めたった2名で、スタッフの方のほうが多いという贅沢な環境でした。
駅から車で少し行ったところに研修所があり、そこで2泊3日の水に関する訓練が始まりました。周りは自然豊かな場所で、伝統的な建物が並ぶ風情のある場所でした。近くには世界遺産の富岡製糸場もあります。時間があれば、観光したいくらいでした…(笑)
「水の防衛隊」訓練では何をする?
この訓練の目的は、“村落給水に関する一般知識や技術を知ること"。実習や水関連施設への訪問など、フィールドワークが組まれているのが特徴でした。
1日目 | OVの方の活動発表 水の防衛隊に関する講義① |
2日目 | 水利組合への訪問 浄水場施設への訪問 |
3日目 | 水の防衛隊に関する講義② GPS/GIS実習 ケーススタディ・発表 |
初日は、水の防衛隊で活動されていた方とのZOOM会議で始まります。ルワンダやスーダンで村落開発普及員などを歴任された経験豊富な方で、途上国の水道施設のスキームや給水施設のレベルなど基本的な知識に加え、体験談などを聞くことができました。
午後には、ポンプ実習として途上国で使われている井戸の実物を見て、仕組みを学びました。井戸にも主に"AFRIDEV"と"INDIA MARKⅡ"という2種類が使われていて、実物を観れるのはとても面白かったです。
2日目には、地元の土地改良区を訪問し、農業で使われる水に関してどんな問題があるのかを伺いました。恥ずかしながら、土地改良区や水利組合がどのように運営されているのかすら知りませんでしたが、農家の方々や自治体の方々それぞれで大きな問題を抱えていることを実感しました。
午後には地元の浄水場に行き、取水から送水までの流れや運営形態などを学びました。日本の水道水が飲めるのは、いろんな技術や浄水場の方の努力があるおかげなんだな~と実感しました。
3日目は、昔の日本で行われていた生活改善運動でどんな工夫がされてきたのかを講義を通して学びました。私の要請とも関連するGPS/GIS実習という講義もありました。
↓研修所の周辺を歩いて、実際に位置情報を取得するという実習も行われました。
午後には、前日に土地改良区で聞いた話をもとに、課題を分析して解決策を考えるというワークショップが行われました。最後にはスタッフの方々の前で発表し、研修は終了となりました。
↓研修終了の証としていただいたバッジ
かなり内容の濃い講義や実習が一日中行われていたので、内容を整理するのはとても難しかったです。特に最終日のケーススタディは、昨日覚えた知識を使って数時間でソリューションを提案しなければなりませんでした。
案の定、スタッフの方にはいろいろな問題点をツッコまれまくりでしたが、何とか終了することができました…(笑)
研修を受けてみて
前述の通り、水に関する知識は皆無の状態で研修に臨みました。そんな自分でも村落給水の基本的な知識を学ぶことはできました。
ただ、日本でも農業用水の管理や生活用水の徴収には様々な問題があるのに、これを途上国で考えるのはめちゃくちゃ大変だろうなと少し不安にもなりました…(笑)
私はあくまで、すでに浄水場施設がある上下水道会社で働くので、村落開発や井戸の管理などは行うことはなさそうです。ですが、このテーマは学習すればするほど、いろんな課題が見えてきます。
水に関するボランティアをするうえで、こういう課題意識を持つことができたのが、一番大きな収穫だったかもしれません。
私の要請は「GISマッピングで水道管地図を作成し、情報を可視化することでメンテナンスをしやすくすること」ですが、その背景には、「漏水や盗水による無収水を削減すること」が目的としてあります。
そのため、目先のGISというソリューションにこだわるのではなく、今回の研修で得た知識を活かして、無収水をなくすことを前提として活動していきたいです!
以上、水の防衛隊研修のレポートでした!!
ではKwa heri!!
▽もう一つの課題別派遣前訓練の記事はこちらから▽
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