教育支援団体KESTESの奨学生訪問に行ってきました!
<ケニア生活465日目>
Chamgei!
こんにちは、てらぼー(@terabow42)です!
ケニアのJICA海外協力隊員の約半数は、優秀な成績を収めているにも関わらず学校に通えない学生をサポートする教育支援団体「KESTES」のメンバーとしても活動しています。この組織では、選抜した奨学生に対して学費を金銭的にサポートしている他、学期ごとに各奨学生のお宅を訪問し、家庭状況や学校生活の進捗を伺うことになっています。
私もメンバーとして一人の女子奨学生を担当しており、先日彼女のお家に訪問してきました。彼女は今年度から採用した奨学生の一人で、今回が初めての訪問となりましたが、普段の学校生活や学習状況などを詳しく聞くことができました。今回はその様子をお届けします!
▽KESTESのホームページ▽
KESTESの奨学生訪問
KESTES(Kenya Students’ Educational Scholarship)は、ケニアのJICA海外協力隊員の有志で運営される教育支援団体です。1983年以来、ケニア国内の「優秀であるが、経済的に就学が困難な生徒」を金銭面でサポートしてきました。今も協力隊員の任地を中心に毎年2名ほどを選抜しており、計7名に対して奨学金を支給しています。
▽KESTESについての紹介記事はこちらから▽
メインの活動は奨学生への金銭的な支援ですが、JICA海外協力隊員の草の根支援経験と地方都市にもボランティアが派遣されている強みを活かして、様々な活動を行っています。
その一つが奨学生の実家に訪問する「奨学生訪問」です。ケニアの優秀な学校は全寮制の3学期制であることが多く、学期間の休みは自宅に帰省することが基本となっています。その帰省期間を活かして担当の隊員が各奨学生の家庭を訪問し、学校生活や家庭環境の状況確認をしています。
訪問を通して奨学生の成績を確認し、アドバイスを行ったり、学校生活の悩みを聞いたりします。また、両親にも家庭環境の状況をヒアリングを行い、今後のサポートに活かします。
こうすることによって、家族や奨学生との信頼関係が構築されると、金銭面以外でのサポートを円滑に行えるようになってきます。また、閉鎖的なケニアにおいて、外国人と話せるというだけでも学生にとっては貴重な異文化体験であり、彼らの進路の選択肢を増やす機会にもなっています。
奨学生訪問の様子
KESTESの奨学生は貧しい農村出身であることが多く、私が担当している生徒の地域も想像を絶するほど田舎です。町には舗装されている道路はなく、スーパーマーケットすら1軒もありません。
この街にたどり着くには舗装されていない道を進む必要がありますが、雨が降ると酷い道になります。車がスタックすることもしばしばです。
こんな場所でどうやって生活しているのかというと、ほとんどの住民は小作農であることが多く、この時代にほぼ自給自足で生活しています。この奨学生の家庭では、現金収入が年間約4,000~6,000円ほど。奨学生が通う学校の学費が年間約120,000円ですから、いかに貧しい生活をしているかが分かるでしょう。
ケニア政府はプライマリーまでを義務教育、セカンダリーまでを学費無償化と規定していますが、実態は学校が学費を徴収していることがほとんどです。さらにケニアでは規定金額が払えないと問答無用で家に帰らされます。この家庭では娘4人、息子2人のプライマリー学費を全て教会のファンドレイジングに頼って捻出してきましたが、その場合はレベルの低い学校を選ばざるを得ません。
彼女はプライマリー卒業試験KCPEで上位約1%の点数を叩き出し、運よく我々の団体に出会えたので、国内最高クラスのナショナルのスクールに通うことができています。しかし、KESTESの支援がなければこの奨学生はおそらく通学を諦めて家庭の農業を手伝うか、運が良くてもレベルの低い学校に通うことになっていたでしょう。
到着すると家族みんなで我々を出迎えてくれました。ケニアでは支援慣れしすぎて、外国人から金銭的援助を受けるのは当たり前だと考えている人がほとんどですが、奨学生のお父さんは感謝を忘れない礼儀正しい方です。今回も最大の敬意を払って出迎えてくれました。
家庭訪問では学校の成績を提出してもらう他、学校生活の状況や家庭環境をヒアリングしていきます。今学期の期末試験の成績はA-で学年63位/393人、クラス6位/56人でした。そこそこ良い成績ではありますが、彼女は医者を目指しているため、今後もこのレベルを卒業まで維持していく必要があります。
ケニアの期末試験では毎回入学してからの全ての範囲が出題されるため、学年が上がるほど難易度が上がっていき、段々と成績が下がっていくのが普通です。しかも、彼女の家庭は大学進学にかかる金額を用意できるわけでもないため、大学に行くには奨学金を得る必要があります。奨学金はさらに競争率が上がるので、より一層の努力が求められることになるでしょう。
彼女の両親はスマートフォンすら持っていないため、進路に関する情報を調べたり、彼女に何かしらのアドバイスをすることが難しい状況にあります。そのため、彼女の成績や今後の希望をヒアリングしたうえで、医学部進学に必要な理系科目を重点的に取り組む必要があることなどを、我々からアドバイスしました。
学校生活は順調なようで、仲の良い友人もできたとのことでした。寮生活にも慣れ、今のところ生活面で問題はないそうです。クラブ活動ではスワヒリクラブに加入し、楽しく活動できているみたいです。
家庭状況について父親に伺ったところ、相変わらず金銭的に厳しく、子供6人の学費を捻出するのが困難だと話していました。まだ幼いプライマリー生が二人いますが、その学費約40,000円/年も教会に頼って通わせているようです。
そんな中でも、我々のために昼ご飯を用意してくれていました。貧しい中でも精一杯もてなしてくれるご両親にはとても心を打たれました。ケニア伝統料理のウガリとスクマウィキをありがたくいただきました。
学校以外の話も
担当者にもよりますが、奨学生訪問では何かしら奨学生とアクティビティをすることも多いです。理科教育の隊員は手に入るモノだけで奨学生と一緒に理科実験をしたり、別の隊員は日本のイベントに参加し奨学生の生活をビデオ通話で紹介したりするなど、できるだけ奨学生には何かしらの体験を得てもらう機会を提供しています。
今回は、個人的に育てていたアボカドの苗を5株ほどプレゼントし、一緒に庭に植えました。お父さんがとても喜んでくれて、早速庭に穴を掘ってくれました。アボカドはケニアの気候下では植えるだけで勝手に育つし、2年ほどで実を収穫できるようなので、いつか家庭の新たな食料や収入源になってくれれば…と考えています。
今回の家庭訪問を通じて、ケニアの教育格差を改めて実感するとともに、我々がこうした生徒をサポートする重要性を再認識しました。また、こうした状況の中でも勉学に励む奨学生と、それを支える家族の頑張りに心を打たれました。今後も彼女が夢を叶えられるよう、精一杯サポートしていきたいです!
KESTESは支援者の方々の寄付から成り立っています。支援者の皆様、いつも多大なご支援をありがとうございます。
この組織では現役協力隊員の知見や経験を活かし、奨学生へ直接的なサポートができることが強みです。また、協力隊のボランティア活動を基盤に組織を運営しているため、人件費等をかけず、寄付の全額を奨学生のために使用できます。ぜひ我々の想いに共感し、サポートを検討していただける方はぜひホームページをご覧ください!
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では、Kwa heri!!!
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