<ケニアの政治と治安事情>野党指導者による大規模デモでナイロビやキスムが混乱状態に…。
<ケニア生活69日目>
Chamgei!!
こんにちは、てらぼー(@terabow42)です!
JICA海外協力隊としていつも通り、上下水道会社に出勤したある日、同僚から「今週末は、ナイロビ(首都)とかキスム(ケニア西部の大都市)に行ったりしないよな?!絶対に行くなよ!!」とフリみたいなことを言われました。
何のことか尋ねたところ、2022年の大統領選で敗れた野党党首が大衆を煽ってマンダマーノ(maandamano)というデモを先導し、大きな都市では治安が危うくなるというのです。
JICAや大使館からの注意喚起もあったので、もちろんこのことは知ってましたが、地元の人でも危険だと感じるのかと驚きました。
まだケニアに来てから2カ月ほどですが、今回の事に限らず、ケニア人の政治への関心や考え方は日本人と大きく異なることをとても強く感じています。
今回は、そんなケニアの政治事情について、感じたことを書きたいと思います。
ケニア人の政治への関心
2023年3月9日、野党党首のライラ・オディンガが現政権への抗議活動開始を宣言しました。背景として、2022年8月のケニア大統領選挙があります。前副大統領のウィリアム・ルトにオディンガ氏は敗れ、選挙不正を訴えましたが、最高裁が棄却し、ルト氏が大統領に就任しました。
しかし、新大統領が元々の課題である失業率の問題に加え、ケニアシリング安と物価上昇を止めることができておらず、不満を持った民衆がオティンガ氏の呼びかけに呼応するような形で今回のデモは大きくなりました。
オティンガ氏は首相などを歴任するほか、大統領選に5度立候補した実力者(一度も当選していないが…)。ケニア内の人気も高い彼が呼びかけた抗議活動とあって、多くのケニア人が抗議活動に参加することが想定されました。
私は、ケニアに来てたった2カ月ですが、現地で働いているとケニア人の政治への関心の高さには驚かされます。(日本人の関心が低すぎるせいかもしれませんが…)
同僚同士で話していると、会話には頻繁に政治の話が出てきます。
彼らが仕事をせずにYouTubeを観ているときは、だいたいヨーロッパサッカーのハイライトか政治家の演説の動画。
先日、ルト氏がカプサベットに訪問したときも、多くの同僚が見に行ったらしく、「昨日、ルトがこの街に来てたんだよ。なんだ、お前は行かなかったのか」と言われました。(ルト氏はカプサベット内の高校出身でヒーロー的な存在です。)
開発途上国だと、一つ一つの政策が人々の生活に直結するので、老若男女問わずほとんどの人が日々のニュースをチェックしています。(政治以外に娯楽が少ないというのも関係していると思いますが…)
だから、この抗議活動が始まったときは、大使館やJICAからの連絡より早く、同僚から注意喚起を受けていました。ここまで政治に対する関心が高いことは、ケニアが今後発展していくうえで、大きな原動力になるのではと個人的には思いました。(治安が悪くなるのは考え物ですが…)
抗議活動が始まった日
オディンガ氏によるデモは、3月20日からナイロビで開始されました。この日は大都市周辺のJICA職員ならびにJICA海外協力隊員に自宅待機が指示されました。
出勤すると会社内は、マンダマーノの話で持ちきりに…。
まだデモは始まってもいないのに、多くの人が仕事の空き時間にナイロビ市内のライブビューイングをYouTubeで観ていました。
珍しくオフィスにテレビまで用意されており、一日中デモの様子が放映されていました。どの番組もこの話題でした。
そして、昼頃になるとデモ隊が抗議を開始し、オディンガ氏がナイロビのCBD内で演説を開始。緊張が高まるにつれ、警察は発砲と催涙弾を使うようになり、大混乱の映像が流れ出しました。
その後、オディンガ氏は車から顔を出しながらナイロビ市内に繰り出すと、それとともに群衆も興奮するようになり、警察と衝突する映像が流れていました。このようにデモ隊と警察の衝突はある程度想像していたものの、実際に映像で見ると日本では見たこともない映像に圧倒されてしまいました。
タイヤが燃やされていたり、催涙弾で煙が立ち上っていたり、デモ隊が警察官に力で取り押さえられていたり…。これでも、昨年の大統領選や過去のデモと比べると小規模で終わったんだとか…。初めて見る光景に圧倒されっぱなしでした…。
仕事が終わり、帰りにカプサベットの中心街を通ると、いつもと比べかなり人が少なく感じました。
同僚は、「みんな家のテレビでデモを見ているから人が少ねーなー」と笑っていました。改めて注目度の高さを感じた瞬間でした。
今後のマンダマーノの動向
同僚に、「カプサベットはデモの影響ないの?」と聞いたところ、「カプサベットにはルトの支持者しかいないからめちゃくちゃ平和だよ!」と言われました。
ケニアには42の部族がいますが、カプサベットの住民はルト氏の民族「カレンジン」が大多数を占めています。やはり政治家の支持層は同じ民族になる傾向があるようで、確かに当日もカプサベットは平和に見えました。
とはいえ、ここはケニア。2年間のうちに政治絡みの騒動に巻き込まれないとは限らないので、気を引き締めるきっかけになりました。
今回のマンダマーノではナイロビの企業や学校は休業・休校になるほど大きな影響が出ていました。しかし、オディンガ氏は今回のデモだけでは懲りず、毎月曜日と木曜日に抗議活動を行う意思を発表しました…。中には、デモに紛れてスーパーに強盗に入る便乗強盗の映像もSNSに拡散されていました。
今でも、毎週2回キスムやナイロビでデモの扇動を続けており、その度にケニア国内では大きなニュースとなっています。(4月2日にルト氏とオティンガ氏が対話による解決を目指すことにより、一時的にデモが中止になるなど、歩みよりも見せています。)
デモの様子は、今後も注視していく必要がありそうです…。
今回はケニアの政治についてのお話でした。今後も一層気を付けて生活したいと思います!
では、Kwa heri!!!
▽次回の記事はこちらから▽
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