ケニアのJICA海外協力隊が感じるアフリカ生活の苦悩とは
<ケニア生活217日目>
Chamgei!
こんにちは、てらぼー(@terabow42)です!
JICA海外協力隊としてケニアに来てからというもの、幸いにも周囲の環境や会社の同僚たちに恵まれ、毎日楽しく過ごすことができています。
しかし、遠く離れたアフリカでの生活は日本とは全く異なり、苦労が多いことも事実です。
日々生活していると、文化・慣習・価値観の面で「これは違うだろ…」と感じてしまうこともしばしば。郷に入っては郷に従えとは言うものも、それがストレスになってしまうこともあります。
いつもはケニアの素晴らしいところを紹介していますが、今回はケニア生活で苦労している部分について話していこうと思います。(あくまで個人の見解です…笑)
工業製品のコスパが悪い
農業大国であるケニアでは、多くの工業製品を他国からの輸入に頼っています。街で見かけるほとんどの工業製品は中国製ですが、これらは決して安くありません。
そのため、ケニアに住んでいると「工業製品にお金がかかる」、「お金をかけても質の良いものが手に入らない」というのが厄介な悩み事になります。
例えば30,000円近くする洗濯機は洗濯槽と脱水槽が分かれており、入水や排水も手動で行う必要があります。10,000円近くする電子レンジはセンサーがついておらず、温かくなっても自動で止まらないし、中に食べ物がない状態でも温めることができてしまいます。
工業製品 | 値段 |
---|---|
電子レンジ | Ksh9,000~ |
洗濯機(二層式) | Ksh30,000~ |
冷蔵庫 | Ksh25,000~ |
扇風機 | Ksh5,000~ |
困るのは文房具・タオル類・調理器具などの生活必需品ですら、質が低いのに比較的高いということ。こちらにきてから、DAISOなどの100円ショップがいかに偉大かを思い知らされました(笑)
例えば、ケニアで売っている延長コードは4口で安くても2,000kshくらいします。そもそも日本より高いのですが、最も厄介なところは大抵の場合、1つの口を使うと隣の口は使えないということです。つまり、4口の延長コードは実質2口しか使えないのです。中の構造がどうなっているか分かりませんが、私は無理やり隣の口を使おうとして既に4つの延長コードを壊しました(笑)
食事の質が低い
人によっては一番厄介なのが、ケニアの食事面です。
個人的には決して美味しくないわけではないと思うのですが、日本食とはかけ離れているため苦手な人も多い印象です。
また、ケニア料理が苦手ではない人にとっても、ケニアに住んでいるといくつか厄介な点があります。
<ケニア居住者の食に関する悩み>
- ケニア料理は種類が極端に少ない
- ケニア料理は油っぽくて非常に重い
- 売っている調味料が極端に少なく、それぞれ質が悪い
- 肉や魚などのたんぱく源が日本に比べて美味しくない
- 米やパスタ、パンなどの炭水化物系が日本に比べて美味しくない
- 外国料理を食べる文化がなく、外国料理店が非常に少ない
まず、1か月もあれば全てのケニア料理に出会えるほど種類が少ないので途中で必ず飽きがきます。
その上、ケニア人たちは本当にケニア料理しか食べないので、特に地方都市には外国料理店が非常に少ないです。日本食に限らず、ピザやパスタさえ食べる場所がないほどです。自分で外国料理を作ろうとしても、輸入品の食材は高かったり質が低かったりします。
パスタや米などは小さいスーパーでも手に入れることはできますが、高いしびっくりするくらい美味しくありません。ケチャップ、ソーセージ、バター、マヨネーズなどの加工品も全てにおいて質が低いので、安価に質の高い日本食を手に入れることができる日本は本当に偉大だな~と日々感じています。
移動が地獄
私が個人的に最も苦労していること、それはケニアでの移動です。
というより日本の鉄道が偉大過ぎるだけだとは思いますが、いまだにケニアの交通機関には慣れません。
交通手段 | 用途 | 大変な点 |
---|---|---|
飛行機 | 大都市間の移動 | 空港は僻地にあるため、そこまではマタツやタクシー等を使う必要がある。 |
鉄道 | 大都市間の移動 | マタツやバス以上に時間がかかる。駅も少ない。 |
大型バス | 主にナイロビから西側の都市への移動 | 長時間の移動になる。 |
マタツ | 都市間移動 | 狭い。暑い。頻繁に止まる。必ず運賃をぼったくってくる。 |
タクシー | 大都市内での移動 | 小さな都市にはない。 |
バイクタクシー | 都市内での移動 | 非常に危険。 |
田舎に住む隊員にとって大変なのは、交通手段が非常に限られること。
マタツが嫌すぎるので、少し多めにお金を払ってでもタクシーを使いたいところなのですが、小さな都市にタクシーはありません。その上、バイクタクシーは安全性の観点から乗車を禁止されているので、非常に選択肢が限られる中で生活する必要があるのです。
治安が悪い
ケニアは治安が悪いというイメージがある方も多いと思いますが、残念ながらそのイメージはウソではありません。特に首都ナイロビはひったくりなどが頻繁に発生しているほか、テロの脅威にも晒されています。
とはいえ、実態を把握して対策をしていればリスクを減らすことは可能です。私もナイロビではかなり気を張っているので、幸いなことに今のところ危ない目に遭ったことはありません。他の都市でも最低限の注意をしていれば、安全に旅行ができると思います。
ただ、住むとなれば話は別です。私の街ではいたるところに大麻やシンナーの中毒になっているホームレスやストリートチルドレンがふらついています。
彼らは、外国人を見るなり群がってきてお金や食べ物を要求してきます。中にはセキュリティを破ってスーパーマーケットに入ってきて、私の買い物にずっと付きまとってくる者もいます。足元がフラフラしていて正常な意識を保ってなさそうな人もいるので、そんな人々に付きまとわれるのは結構な恐怖を感じます。
今のところ実害を被ったことはありませんが、これが日常となると結構なストレスになります。田舎と言えど、場所によってはかなり気を付ける必要がありそうです。
偏見がスゴイ
ケニアで最も驚いていること、それは多くのケニア人が偏った考え方を持っていることです。これが原因で、コミュニケーションにおいて悩まされることや、差別を受けることが多々あります。
しかも、先述した他の悩みは自分でどうにかして解決することができますが、これだけは個人の力ではどうにもならないのが大変なところです。
これまで経験した偏見を列挙しようとするとキリがありません。
主な偏見・考え方 | 弊害 |
---|---|
日本人はヘビ・カエル・虫・犬など、なんでも食べると思っている | 日本の食文化を軽蔑してくる人が一定数存在する |
日本と中国は同じだと思っている | 人種差別をしてくる人が一定数存在する |
LGBTは人間の悪だと考えている | LGBTの話は気軽にできない(少しでもLGBTに寛容な態度を見せれば、一斉に批判をくらう) |
外国人はもれなく全員がお金を持っていると思っている | 街中でお金や食べ物を要求される |
アフリカの人が海外に行くと酷い差別を受けると思っている | 外国人に対してのイメージが良くない人がいる |
この中でも、特に中国と日本の区別がついていないことは少し厄介です。というのも、ケニア人はなぜか街を歩くアジア人に対して「チャイニーズ」とか「チンチョンチャン」とか叫んできたり、お金や食べ物を要求してきたりします。
ケニアでは中国の影響が大きいため、アジア人を区別できない彼らは日本人に対しても中国人として扱ってくるのです。
もちろんケニア人全員というわけではありません。特に比較的裕福なケニア人は他人に対して寛容で、リベラルな考え方を持っている傾向があるように感じます。
裏を返すと、比較的低賃金で働く人々や十分な教育が受けられていない人々が偏見を強く持っている傾向があるように思えます。特に、街を歩いているとストリートチルドレンやバイクタクシードライバーから差別用語を受けることがありますが、同僚曰く、彼らはそれらを差別用語だとすら認識していないと聞いたことがあります。つまり、大半は悪意なく他者を差別してしまっているのです。
こういうのを見ると、教育ってホントに大事だな~と実感します。
このように、ケニアに住むということはこうした苦労も経験することになります。普通に住んでいる分には素晴らしい国なので、こういった部分にもうまく付き合いながら過ごしていこうと思います!
では、Kwa heri!!!
▽次回の記事はこちらから▽
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