名門校カプサベット・ボーイズがケニアNo.1を維持する秘訣とは
<ケニア生活445日目>
Chamgei!
こんにちは、てらぼー(@terabow42)です!
私が活動している任地カプサベット(Kapsabet)は国内でもあまり知られていない田舎町ですが、1つだけ誇れるものがあります。それが、ケニアNo.1の学力を誇るカプサベット・ボーイズ・ハイスクールです!
この学校は創立以来、著名人を数多く輩出してきた名門校であり、現在でも過去2年連続でケニアNo.1の学校として君臨しています。今回、そんな国内屈指の学校に潜入することができたので、紹介したいと思います!
カプサベットボーイズとは
カプサベット・ボーイズ・ハイスクール(Kapsabet Boys High School)は、ケニア西部ナンディ郡のカプサベットにある全寮制の男子校です。2代目大統領モイ氏や現職ルト氏に加え、数多くの著名政治家やスポーツ選手を輩出している名門校として知られています。
ケニアの現教育制度(現在新制度CBCへ移行中)は8年(プライマリー)-4年(セカンダリー)-4年(大学)のシステムを採用しています。セカンダリースクールは、プライマリー卒業時に全生徒が受ける試験KCPE(Kenya Certificate of Primary Education)の成績に応じて生徒が割り当てられており、レベル順にナショナル(国立)/カウンティ(郡立)/サブカウンティ(準郡立)に分かれています。この学校はナショナルであり、その中でもかなり高いKCPEスコアを持っていないと入学できません。*基準は毎年約400点(全受験者の上位0.6%)
この学校がなぜ国内No.1かというと、セカンダリー卒業時に全国の生徒が受ける試験KCSE(Kenya Certificate of Secondary Education)の点数が学校別で国内トップだからです。過去2年連続でトップの成績であるほか、それ以外の年でも好成績を維持しています。
今回は地方のサブカウンティで教員をしている同期隊員が私の任地に遊びに来てくれて、せっかくなら有名校を見てみたいということで一緒に見学させてもらいました。サブカウンティスクールには私も行ったことがありますが、別の国かと感じるほど何もかもが異なっていました。
学校もこれまでの実績をかなり誇りにしているようで、大統領訪問時の写真や学校の成績をところどころに掲示していました。
カプサベットボーイズの施設
カプサベットボーイズは全寮制の学校のため、かなり広い敷地を有しています。敷地内には広い校舎と校庭があるほか、学生寮・食堂・工房・職員寮など、生活に必要な設備が全て揃っています。
そして、驚いたのはそれらの施設が他の学校とは比べられないほど立派であることです。公立の学校でありながら、ハリーポッターに出てくるんじゃないかと思わせるような施設がたくさんありました。(おそらく、ケニアの学校を見たことがない方にとっては分かりにくいと思いますが、これから出てくる施設の立派さと綺麗さはこの国では異常です…笑)
まず敷地内に入ると、学校外よりも質が良いんじゃないかと思うほどの綺麗な道路が舗装されています。そして、道端の至る所にことわざのボードが…。こういうのを見ると、相当優秀な学校だということを実感します…。
こちらは図書館。写真で見えている範囲の5倍くらいの広さがあり、巨大液晶モニター付きの多目的ルームが別の部屋として併設されていたり、約30台ほどのPCまで完備されていました。本は綺麗に整列していて、常に掃除員が部屋全体を清潔に保っている様子でした。
生徒たちは静かに勉強に励んでおり、初めてこの国で公共施設での沈黙ルールを守る人々を目にしました。
こちらは数十棟ある学生寮のうちの1つ。温水シャワーと水洗トイレが完備されており、その辺のケニア人よりも良い生活をしてそうでした。
ただ、ライフスタイルを聞くと軍隊のようでした。朝5時前後に起床し、シャワーと朝ごはんを済ませたら勉強の時間。昼間の授業と夕方の補講を受け、夜の自主学習の時間を経たのち就寝するというスケジュールのようです。国内No.1の片鱗を見た気がしました。
この日は生徒たちがテストを受けており、その合間に教室や校舎を見ることもできました。校舎はペンタゴンのように5角形の形が特徴で、これは中庭の写真です。
サブカウンティの生徒たちとは全く違い、外国人を見ても全く何も言わないし、厳格に時間を守って行動していました。学校には生徒指導部のようなものもあり、かなり規律が守られているようでした。
学生数が数千人規模ということもあり、食堂は普通の学校の10倍ほどの広さがありました。そして、ちゃんと綺麗!働いているスタッフも10人以上はいそうでした。
作っていたのは、ケニアの学校では定番のスクールギゼリ。その他に夜ご飯用のお肉を調理していました。昼にはここで作った野菜とウガリをいただきましたが、ウガリはケニアに来てから一番美味しかったです。
そして、誰もが驚くのが校庭の施設。ケニアの学校では土の校庭と丸太だけ立っているゴールポストが一般的ですが、ここでは全面芝生が敷かれている他、バスケットボールコートはコンクリートでした。サッカーやホッケー・ラグビーなど全てのゴールポストが手作りではありませんでした!
学校にはサッカー・水泳・陸上・ホッケー・チェス・ラグビー・etc…の10以上のクラブがあるらしく、中には結構お金がかかる競技も…。学生たちは恵まれた環境下でこうしたクラブ活動を楽しめるようです。
なぜこんなにも違いが表れるのか
今回の見学で最も痛感したのは、下位レベルの学校との圧倒的な差でした。それは施設のみならず、生徒や教員にも表れているように感じました。案内してくれた先生に話を聞くと、施設などは卒業生からの支援などで維持できているところも大きいようでした。
一方、教員に関しては「優秀だからナショナルの学校に割り当てられる」みたいなことはないそうで、給料も下位レベルの学校の教員と変わらないそうです。あるとすれば、上位レベルの学校は授業後に補講があるらしく、その授業を受け持つことで多少の残業代を受け取れるとのことでした。
とはいえ案内してくれた先生は授業の時間をしっかり守るし、身なりもかなり綺麗だったし、生徒に対しても挨拶をしていました。環境がそうさせるのでしょうか…。(逆に、私の職場にいるこの学校の卒業生たちは、普通のケニア人と同じようにルールも時間も守らないのはなんでなんだろう…)
ちなみに1年の学費を聞いたところ、約80,000円/年間。これは月収が5万円前後のケニアではかなり高額です。ケニアではこの学費を納入日に払えないと即帰宅させられるため、仮に入学基準のKCPEスコアを持っていたとしても貧しい家庭の子どもは通学できません。セカンダリーは義務教育ではないものの、優秀なのにこの学校に通えていない学生が多数存在すると思うと胸が痛かったです。
日本の方には分かりづらかったかと思いますが、終始他の学校との格差に驚くばかりでした…。ケニアの教育格差を再認識したと同時に、この学校の卒業生たちがこの国の最悪な現状を変えて行ってくれることを切に望むばかりです…。
では、Kwa heri!!!
▽次回の記事はこちらから▽
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