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ケニアの上下水道会社で働いて感じた「途上国の課題」とは

派遣中,青年海外協力隊派遣中,青年海外協力隊

<ケニア生活151日目>
Chamgei!
こんにちは、てらぼー(@terabow42)です!

てらぼーの旅ブログ

JICA海外協力隊として、上下水道会社に赴任して4カ月。任地での生活には慣れた反面、活動をしていくうえでいくつかの壁にもぶつかっています。

赴任当初にも任地について記事にしましたが、それから活動してみて新たに感じたことがあったので、今回はそんなケニアのコンピュータ技術隊員の職場について紹介していこうと思います!

ICT部署の仕事

私はこちら↓の記事で紹介した上下水道会社に派遣されており、この中のICT部で働いています。

主な役割は以下の通り。私含めて二人で仕事をしています。

  • 業務システムの運用
  • 社内のハードウェアのメンテナンス
  • システムのトラブルシューティング
  • 管理職や社長が会議で使用する資料の作成
    etc…

同僚たちは気さくでとても仲良くしてくれるので、毎日楽しくやれています。週末には家に招いてくれたり、一緒に遊びに誘ってくれたりするので、おかげでケニア生活になじむことができています。

同僚のスキルも決して低くなく、特にハードウェアに関しては私よりも詳しいので、想像していた「パソコンを治してあげる」といった協力隊あるあるの仕事は今のところありません。

ICTオフィスでの仕事

課題だらけの会社業務

水道会社の一連の業務は意外にもシステム化されていて、請求書発行や顧客への通知などは自動化されています。

とはいっても、ICT部署の業務は課題だらけです。

業務フローは問題だらけで、日々日本の企業では聞いたこともないようなトラブルが起きます。請求業務を一例として挙げてみても、これだけの課題が見つかります。

<ICT部署の請求業務の流れ>

業務部署課題
顧客の検針表を作成し、検針員に配布するICTICT担当者のリテラシーが低く、手作業が多いので時間がかかるし、ミスが多い
検針表をもとに全顧客を訪問して、検針する検針員顧客の住所は手書きの地図と検針員の記憶の中にしかないため、引継ぎや作業の標準化が困難
メーターの数値を携帯電話からシステムにアップロードする検針員検針員は現地でメモを取り、職場のWiFiを使ってアップロードするので時間が無駄にかかっている。(現地でアップロードすると自費のインターネット使用料がかかる)
メーターの数値が正しいか確認するICT使用しているシステムが頻繁にクラッシュするので、データの正しさを手作業で確認する必要があり、時間もかかるし完璧にはできない
請求書を発行するICTシステムが不安定なので、請求額が頻繁に間違っており、クレームが発生する
顧客に通知するICTシステムが不安定なため、頻繁に通知に失敗する


過去の記事で、この会社を"ホワイト企業"と言いましたが、この言葉は全くの誤解でした(笑)

というのも、以前は"日本のように残業がない"とか"自分の裁量で出勤時間を決めることができる"という意味でホワイトだと感じたのですが、これはただ管理職が全くマネジメントできていないだけだったのです。

管理がされていないことが原因で日本企業では考えられないような問題が日々発生しています。

<主な課題>

課題詳細
システムが頻繁にクラッシュするトラブルシューティングに過大な時間を割いている
業務が属人化している特定の社員が不在になると業務が止まる
マニュアル業務が多いヒューマンエラーが発生し、修正に過大な工数を割いている
社員が就労管理されていない無断欠勤や長時間労働、休日出勤が横行している
ドキュメントが管理されていない重要な書類を紛失したり、不要な紙媒体の書類が放置されている

一番大変だったのは、業務システムのサーバーがハッキングされ、顧客データを含む6カ月分のデータが消えたときでした。

急いでベンダーに報告すると、バックアップデータが残っていないとの返答。そもそも、セキュリティが脆弱なシステムなのですが、ロールバックすらできないとの返答に凍り付きました。

仕方がないので、膨大なハードコピー(この時ばかりは紙社会で助かった…笑)から一つ一つリカバリすることを同僚と決意。その間、システムベンダーは一切手伝うどころか、電話にすら出ないこともありました。

その間、ひたすらマニュアルでリカバリを行い、土日も含めて2週間かけて全復旧を行いました…泣

しかも、他の部署の社員はITリテラシーが全くないので、当初は今回のクラッシュがICT部署のミスだと思っていたようで、同部署の同僚が責められることもありました。こればかりは、(なぜか)日本人が説明したほうが説得力があるので、私が社長に説明をして理解してもらいました。

今は経営陣もシステムベンダーがヤバいことに気づいてくれて、システムの刷新を検討中ですが、今でもいつ発生するか分からない障害におびえながらこのシステムを使い続けています(笑)

「職場に行っても仕事がなかった」というJICA海外協力隊あるあるはよく耳にしますが、土日出勤を強いられるというのは後にも先にも私だけな気がします。

KANAWASCOオフィス

今後の仕事の方向性

現時点で悶々としていることは、自分自身が「会社の労働力」としか見られていない点です。

本来の要請内容はGIS(地理情報システム)を用いた上下水道の配管地図を作成することでした。赴任当初に壊れていたGISの機器は無事に新しいものが到着し、すぐにでも活動に取り組める環境です。

しかし、現状ICT部署の業務が忙しくてそれどころではありません。

今のところ労働力としては貢献できているんだろうけど、今のままでは根本的に何も変わらないまま終わってしまうことになりそうです。

実際、たまたま少し時間があった日に、使っていたExcelのワークブックに関数と少しのマクロを埋め込んであげたら、数日かかっていた業務が15分になったことがありました。取り組む時間さえあれば、飛躍的に業務が向上することが目に見えているので、なおさらモヤモヤします。

こんな状況なので今のところ解決策は見えていないですが、まだ時間はあるので試行錯誤しながらやっていきたいと思います!

ケニアの上下水道会社のオフィス

オフィスの環境

本業とはあまり関係ないですが、赴任直後に行った展示会でアボカドの苗木を購入し、オフィスの庭に植えたことがありました。

ケニア人の多くが副業で農業をやっていることもあり、みんな色々なアドバイスをくれます。中には、肥料をくれたり雑草を取り除いてくれる社員もいて、おかげですくすく育っています。

オフィスのアボカドの木

この前は、カメレオンが来ていたこともありました。珍しいと思ったので興奮気味に同僚に話したら、全然興味なさそうでしたが…。ちなみに、このカメレオンを日本で買ったら数万円くらいするみたいです。

ケニアの職場で見つけたカメレオン

他にも、珍しそうなカラフルな鳥やデカい鳥がいることもあり、日本とは全く異なる景色を見ることもできます。

ケニアの職場にいたカラフルな鳥

カプサベットは一年を通して涼しく、降水量も多いので、街自体はとても過ごしやすいです。気候が良いと作物も家畜も良く育つようなので、個人的にカプサベットの食事はケニアNo.1だと思っています。(外国料理店がないので、ケニア料理に限りますが…笑)

活動面ではうまくいかないことがあっても、たまに外にでて庭に出るだけでもリフレッシュすることができるので、この環境には非常に助かっています。

活動が順調にいかない時もありますが、ポレポレの精神でこれからも試行錯誤しながら活動していきたいと思います!!

では、Kwa heri!!!

▽次回の記事はこちらから▽

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